秋の公園で、カラメルを思わせる甘い香りに出会うことがあります。足もとに黄色や茶色の丸い葉が重なっていたら、近くにカツラの木があるかもしれません。
カツラは、秋に色づいた葉や落ち葉の香りを楽しめる木です。その甘さには「マルトール」という香りの成分が関わっています。花を探して上を向く散歩に、足もとの葉を眺める楽しみも加えてみましょう。
香りのもとは、色づいた葉に
森林総合研究所・多摩森林科学園は、黄色くなったカツラの落ち葉から甘い香りが漂う様子を紹介しています。マルトールは、砂糖を含むお菓子をつくる過程でも生まれる成分。カツラの香りがカラメルのように感じられるのには、こうした共通点があります。
同園の説明では、マルトールは緑の葉には少なく、黄葉や紅葉になるにつれて多くなります。秋に葉が色づき、落ちていく時間そのものが、香りを知る手がかりになるのですね。
「お菓子のよう」と感じるのは香りの印象です。この散歩では、木の姿と自然に届く香りを楽しみます。
丸いハート形と、細かな葉のふち
葉は、丸みのあるハートを思わせる形。ふちには細かな波のような凹凸があります。環境省の北の丸公園の植物紹介でも、フリルのついたハート形として案内されています。
一枚の形だけで名前を決めず、まず樹名板に「カツラ」とある木を探すと分かりやすくなります。学名が添えられていたら、Cercidiphyllum japonicumという表記が目印。図鑑で同じ植物を調べるときにも使えます。

次の休日に試せる、三つの見方
用意するのは、歩きやすい靴と、写真を撮れるスマートフォン。近くの植物園や公園の樹木案内で、カツラが植えられている場所を探しておくと、短い散歩でも訪ねやすくなります。
- 枝についた葉を見る。木の名札を確かめ、緑・黄・茶色のうちどの色が目立つかを眺めます。遠くから木全体を一枚撮ると、次に訪れたときと比べられます。
- 園路から足もとを見る。落ち葉の形と色を観察します。葉はその場所に残し、自然に香りが届く位置で楽しみましょう。
- 次に見る日を決める。まだ緑が多ければ、公園の黄葉案内を見ながら再訪の候補日を決めます。今日の写真に日付が残っていれば、それが比較の一枚目になります。
一度の散歩で名前と場所が分かれば十分です。「次は葉がどれくらい黄色くなるだろう」と思える一本を見つけて帰りましょう。
昨日と違う香りも、秋の変化として
葉の色や乾き方が変わると、出会う香りも変わっていきます。空気の流れや立つ場所にも左右されるので、その日に自然に感じた印象を短く残してみてください。「木の下で甘く感じた」「今日は葉の色が印象に残った」など、自分に分かる言葉で大丈夫です。
二回分の写真ができたら、枝に残った葉と落ち葉の量を見比べてみましょう。香りだけを思い出そうとするより、目に見える変化と一緒に振り返ると、その日の様子がよく伝わります。

花と落ち葉、秋の甘さを二つ覚える
キンモクセイは枝につく小さな花、カツラは色づく葉や落ち葉が、秋の香りを探す目印になります。甘い香りに気づいたら、花のある枝と足もとの葉を順に眺めてみる。香りがどこから届くのかを考えると、いつもの公園が少し面白く見えてきます。
次の散歩の目的は、カツラの名札を一つ見つけ、葉の色が分かる写真を一枚残すこと。見頃は地域や年によって変わるので、旅先へ出かける際は施設の最新案内を確かめてください。
記録の続け方は、香りの散歩道を楽しむノートで紹介しています。帰宅後のひと休みには、ほうじ茶の淹れ方もどうぞ。外で出会った甘い香りを思い返しながら、いつもの一杯を用意するのもよさそうです。
参考にした植物案内
- 森林総合研究所・多摩森林科学園「カツラの甘い香り」(黄葉とマルトール)
- 環境省・皇居外苑「カツラ(桂)の黄葉」(葉の形と香り。2023年の観察記録)
挿絵は記事のために生成したイラストです。

