花、葉、果皮。同じ木にあるものなのに、香りの輪郭は驚くほど違います。ビターオレンジの木を手がかりに、今日は「植物のどこから香りを取り出したか」を楽しんでみませんか。名前だけで選ぶと見落としがちな、アロマの面白さが見えてきます。
一本の木に、三つの香りの入口
ビターオレンジ(Citrus × aurantium)では、花から得る香りを「ネロリ」、葉や小枝から得る香りを「プチグレン」、果皮から得る香りを「ビターオレンジ」と呼び分けます。同じ植物でも採る部位が違えば、香りの構成も異なります。花の香りはやわらかく華やか、葉は青さを帯びてすっきり、果皮は柑橘らしい明るさを感じることがあります。ただし印象は製法やロット、嗅ぐ人によって変わります。
植物の花・葉・果皮を広く見渡したい方は、以前の植物からアロマを学ぶ|香りの観察入門もどうぞ。今回はビターオレンジ一種に絞り、「同じ植物の部位違い」を確かめます。

ラベルで「名前の先」を読む、5分の香り遊び
手元に精油がなくても、店頭やオンラインの商品表示を三つ並べるだけで始められます。まず学名に Citrus aurantium(または Citrus × aurantium)とあるかを見て、次に「花」「葉・小枝」「果皮」のどこが原料かを探します。最後に商品説明の香りの言葉を一語ずつメモしてください。「華やか」「青い」「明るい」など、自分の言葉で十分です。
精油の現物がある場合は、瓶の使用方法を確かめ、ムエット(試香紙)を三枚用意して、芳香用として別々に少量を付けます。紙を鼻や肌に当てず、換気しながら一種類ずつ短時間で比べましょう。複数の香りを一度に強く嗅がず、途中で休むと違いを感じやすくなります。原液を肌に塗る・飲む・水だけの浴槽に垂らす使い方はしません。
見つけた違いは、好き嫌いの採点ではなく「朝に眺めたい香り」「静かな時間に眺めたい香り」のように暮らしの場面へ結び付けてみてください。香りを選ぶ時間そのものが、日常に回復の余白をつくる小さなきっかけになります。

「オレンジ」と書いてあれば同じ香り?
ここで一つ注意。スイートオレンジとビターオレンジは、同じ「オレンジ」という名前でも植物の区別があります。また、ネロリと「オレンジフラワーウォーター」も同一の商品ではありません。商品を選ぶときは、通称だけでなく学名、使用部位、製法、用途を一緒に確認しましょう。特に果皮由来の柑橘精油を肌に使う場合は、製品ごとの光毒性に関する注意や使用方法の確認が必要です。精油の自己流の希釈を前提にせず、初めての方は製品表示に沿って楽しんでください。
香りを暮らしに迎えるなら
部位ごとの香りを知ったあと、完成されたブレンドを使うのも一つの楽しみ方です。naturaumのトリートメントオイル【005 二十四節気ブレンド】100mlは、精製ホホバオイルをベースに、プチグレンやオレンジスイートを含む24種類の精油を組み合わせたボディ用の製品。今回のビターオレンジの「葉」の話を思い出しながら香りの重なりを楽しめます。オレンジスイートはビターオレンジと同一種ではなく、この製品にネロリやビターオレンジ果皮油が入っているという意味でもありません。
使用前には全成分と注意書きを確認し、肌に異常が出たら使用を中止してください。妊娠中・通院中など気になる条件がある方は、医療者に相談を。小さなお子さまやペットの手が届かない場所に保管しましょう。
よくある質問
ネロリ・プチグレン・果皮の香りを全部そろえる必要がありますか?
必要ありません。まずは商品表示を比べるだけでも、植物を見る目が変わります。興味が深まったら、用途と注意表示が確認できるものを一つずつ選んでください。
肌用オイルに精油を足してもよいですか?
完成品に自己判断で精油を追加すると濃度や安全性が変わります。製品の説明にない混合はせず、そのまま使用方法に従ってください。
参考:Kew Science, Plants of the World Online: Citrus × aurantium/Citrus aurantium の果皮・花・葉の精油を比較した研究/日本アロマ環境協会「安全に楽しむために」/naturaum公式商品情報。香りの印象は一例であり、効能を示すものではありません。

