香りを繰り返し確かめる「嗅覚トレーニング」。香りを感じる力は、練習によってどう変わるのでしょうか。2026年に発表された研究では、52〜86歳の参加者を対象に、嗅覚の変化と身体活動との関係が調べられました。香りの研究を、実際に測った結果から読んでみましょう。
参加したのは、52〜86歳の71人
Sabiniewiczらの研究には71人が参加し、平均年齢は63.3歳、女性は43人でした。研究者は、嗅覚トレーニングに加えて、質問票で把握した身体活動の程度にも注目。嗅覚機能、抑うつに関する得点、認知面の成績を調べています。対象となった年齢や人数が分かると、どんな人たちの結果なのかを具体的に思い描けます。
3か月後、嗅覚機能の総合的な改善を報告
公開されている要旨では、3か月後に嗅覚機能の総合的な改善が報告されています。匂いの違いを見分ける能力には、改善の傾向が示されました。ここで注目したいのは、「香りに関する何を測ったか」です。今回の中心となる結果は嗅覚機能の変化として読むと、研究の発見を捉えやすくなります。

身体活動との関係も、一緒に調べている
身体活動の水準による違いは、嗅覚・認知・気分に関する結果では小さいか、ほとんど認められなかったとされています。一方、身体活動の増加が大きいほど、匂いを感じ始める閾値の改善も大きいという関連が報告されました。著者らは、月間の活動量を重視した質問票では、習慣の一貫性を十分に捉えられない可能性にも触れています。
研究の読み方は、「対象・期間・指標」の三つから
香りの記事で新しい研究を見つけたら、まず対象者、どれくらい続けたか、何を測ったかを確認してみましょう。今回なら「52〜86歳の71人」「3か月」「嗅覚機能など」です。この三つをそろえて読むと、香りが何かに良いという大きな話から、一つの具体的な発見へ近づけます。

「感じる」を知ることも、香りの楽しみ
好きな香りを選ぶ時間には、匂いを見分けたり、言葉にしたりする面白さがあります。研究では、その体験の一部を指標にして変化を捉えます。この記事は公開要旨に基づく研究紹介です。トレーニングの具体的な実施条件は原著で確かめる情報として分け、まずは報告された嗅覚の変化を、知識として楽しんでみてください。
出典:Sabiniewicz et al.「Olfactory training improves olfactory function in older adults, while physical activity is not particularly effective」Physiology & Behavior, 311, 115318(2026)。DOI: 10.1016/j.physbeh.2026.115318。
香りと感覚の研究を読む
- 香りの研究を読んでみよう|気分・睡眠・認知課題を調べた四つの研究
- 香りを日々の刺激にする研究|高齢者の言語記憶と嗅覚トレーニングを読む
- ミントはなぜスーッと感じる?|メントールと「冷たさを感じる仕組み」の話
アイキャッチの小瓶とムエットは、香りを観察する時間を表したAI生成のイメージです。研究の実験器具や実施条件を再現したものではありません。

