湯船に入る前の数分を、今日の気分に合う香りを選ぶ時間に。バスソルトは材料が少なく、一回分だけ作れるのが魅力です。けれど、精油を塩へ落としてそのまま湯に入れるだけでは、精油が水面に浮くことがあります。香りを楽しみながら作るために、材料の役割から順に見ていきましょう。
最初に決めるのは「どんな入浴時間にしたいか」
夜に照明を少し落として静かに過ごすなら、花や草を思わせる穏やかな香りが似合います。休日の昼に窓を開けて湯を張るなら、すっきりしたハーブの香りもよいでしょう。香りは体調を治す道具ではなく、入浴の時間に自分らしい輪郭を与えるもの。強さより「湯気の向こうでほのかにわかる」程度を目指すと、浴室に長くいても心地よく感じやすくなります。
作る前に、入浴剤を入れてよい浴槽かを取扱説明書で確認します。追いだきや循環機能がある浴槽では、塩類や油分に制限がある場合があります。使えない浴槽なら、同じ香りをディフューザーなどで浴室の外に漂わせる方法へ切り替えましょう。
塩と精油、それぞれの役割
塩は粒の表情や湯に溶けていく過程を楽しむ材料です。一方、精油は植物から得た香りの濃縮物。塩を加えても精油が水に溶けるわけではありません。日本アロマ環境協会(AEAJ)の資料では、精油を無水エタノール約5mLに混ぜ、それを塩や重曹に吹きかけてから浴湯へ加える方法が示されています。無水エタノールを省いて精油を直接浴湯へ入れる作り方は採りません。
ここでは完成品を保存せず、入浴直前に一回分だけ作ります。エタノールが蒸発した後の塩には精油が濃い状態で残り得るため、まとめ作りには向きません。

一回分の材料と道具
- 浴槽での使用を認める種類の塩:大さじ1程度
- 無水エタノール:約5mL
- ラベンダー精油:まず1滴。精油の表示とAEAJの使用目安を超えない
- 小さな耐アルコール容器、計量用具、混ぜるスプーン
塩の量は浴槽の仕様と製品表示を優先してください。敏感肌の人や子どもと入浴する場合は、精油なしの入浴にする選択もあります。香りを増やしたくなっても、浴湯に精油を後から直接足すことはせず、次回に香りの種類や浴室の換気を見直します。
入浴直前の作り方
- ① 浴室の換気を整え、浴槽に湯を張る。塩を使える浴槽であることをもう一度確かめる。
- ② 小容器に無水エタノール約5mLを量り、ラベンダー精油1滴を入れて混ぜる。火気を遠ざける。
- ③ 塩へ②をまんべんなく行き渡らせ、スプーンで軽く混ぜる。作り置きせず、すぐに使う。
- ④ 湯に加えてよくかき混ぜ、粒が残っていないか見てから入る。入浴後は浴槽を洗い流す。
材料を量るのに数分、混ぜるのに1分ほど。大がかりな手仕事ではないから、湯を張る間に準備できます。塩の白い粒へ香りを移す動作も、慌ただしい一日から入浴へ気持ちを切り替える小さな合図になります。
香りの余白を楽しむ
ラベンダーは、湯気の温かさと合わせると柔らかな花と草の印象が広がります。浴室の扉を閉め切って濃く香らせるより、適度に換気した空間でほのかに感じる方が穏やか。照明を落とす、柔らかなタオルを用意する、入浴後の飲み物を決める。そんな周辺の支度まで含めると、一回分のバスソルトが「今夜の入浴」を楽しみに変えてくれます。

よくある迷い
「塩に精油を垂らすだけでよい?」という問いには、浴湯で精油が分散しないため、このレシピでは無水エタノールを先に使う、と答えます。「作り置きできる?」についても、香りの変化だけでなく、エタノールが飛んだ後の精油の偏りを避けるため、その日の一回分に留めます。材料がそろわない日は、塩だけにするか、市販の浴用製品を表示に従って使うと気軽です。
使う前に確認したいこと
精油と無水エタノールは火気から離し、原液を肌につけないでください。浴湯が肌に合わないと感じたら使用をやめ、洗い流します。乳幼児、妊娠中、持病がある方は精油の使用を控えるか専門家へ相談を。ペットがいる家庭では精油をペットへ向けず、保管場所と換気にも配慮してください。浴槽や給湯器の説明書に塩の使用制限があれば、その指示に従います。
参考資料
AEAJ はじめてのアロマテラピー/AEAJ アロマバスの作り方に関する資料。浴槽・精油・エタノールの個別の製品表示も確認してください。

