オレンジにクローブを挿す午後|冬のポマンダーを手作り

朝の窓辺に置いたオレンジとクローブのポマンダー

みかんやオレンジの皮をむくと、指先に明るい香りが残ります。その果実に、スパイスのクローブを一粒ずつ挿していく。電気も火も使わず、手を動かす時間ごと楽しめるのがポマンダーです。玄関の棚に置く、食卓の中央に小さく飾る、リボンをかけて窓辺に吊るす。いつもの果物が、冬の景色を少し変えてくれます。

ポマンダーは、どんな飾り?

丸いオレンジの皮に、乾燥したクローブを挿した香り飾りです。英国の園芸団体RHSは、ビクトリア時代のクリスマス装飾に、オレンジのポマンダーが使われたことを紹介しています。華やかな球体ですが、作り方は単純です。果実の丸みを生かすので、花器も特別な道具も要りません。

香りの主役は二つ。オレンジの皮から立つ甘酸っぱさと、クローブの温かみのあるスパイスの香りです。果汁をしぼった飲み物とは違い、果皮を指で触るとき、クローブを挿すとき、近くを通るときに少しずつ香ります。部屋全体を香料で満たす道具ではありません。近くに置いて、ふと気づく距離感が似合います。

材料と道具をそろえる

  • 形がしっかりしたオレンジ 1個
  • ホールクローブ 適量(まず30〜50粒ほどを小皿に出す)
  • 竹串または丈夫なつまようじ 1本
  • リボンまたは麻ひも 1本(吊るす場合)
  • キッチンペーパー、下に敷く皿

皮に傷や傷みのない果実を選び、洗って水気をよく拭きます。クローブは粉末ではなく、釘のような形のホールを使います。初めから全面を埋めようとすると量が読みにくいので、まずは線や輪の模様を一つ決めると作りやすくなります。

オレンジの皮にクローブを挿す手元
竹串で小さな穴を開け、クローブを一粒ずつ。

一粒ずつ、模様を描く

  1. オレンジを皿に置き、上から下へ伸びる線を二本、頭の中で決めます。吊るすならリボンの通り道を先に空けます。
  2. 皮が硬いときは竹串で浅い穴を開けます。クローブの軸が入る程度で十分です。指先で無理に押し込まず、穴に軸を差し込みます。
  3. 最初の線に沿ってクローブを並べ、果実を少しずつ回します。線ができたら、もう一本、または赤道のような輪を加えます。
  4. 全体を眺め、余白を残すか、点を増やすかを決めます。最後に表面の水分を拭き、皿へ置くかリボンをかけます。

一個にかかる時間は、模様の細かさで変わります。まず15〜20分ほどを見て、途中で一度置いて眺めてください。均等に詰めるより、線の太さや間隔に少し揺らぎがある方が手仕事らしく見えます。クローブの頭を表に向けると、小さな星を散らしたような表情になります。

飾る場所で印象を変える

食卓には、木の皿に一個だけ。ナプキンや小さな枝と合わせると、食事の邪魔をしない冬の飾りになります。玄関なら鍵置きの横に。帰宅して上着を掛ける一瞬に、果実とスパイスの組み合わせが目に入ります。窓辺に吊るすなら、短いリボンで安定した位置へ。光の当たる色の変化も楽しめます。

リボンで吊るしたオレンジの香り飾り
置く場所と光が変わると、同じオレンジでも表情が変わります。

作りたては皮の香りが前に出ます。日がたつと果実の状態も香りも変化します。長期保存を前提にせず、ときどき表面と底を見て、傷みやカビが出たら取り替えてください。英国ナショナル・トラストは、リボンを結んだオレンジにクローブを挿し、卓上に置いたり吊るしたりする方法を紹介しています。乾燥オレンジの輪切り飾りも別の楽しみ方ですが、こちらは作り方と乾燥工程が異なります。

次は、自分の模様で

最初は縦線二本だけでも十分。二個目は輪を一つ足す、三個目は家族と違う模様にする。完成形を急がず、果実を回して余白を選ぶ時間がこの手仕事のおもしろさです。冬の午後、オレンジと小皿のクローブを並べてみてください。

使う前の注意

食べるための工作ではありません。果実やクローブを口に入れず、小さな子どもやペットの手が届かない場所に飾ります。竹串の先端に気をつけ、傷みやカビが見えたものは飾り続けないでください。

参考資料