配合表に並ぶ植物の中に、少し耳慣れない「アルモアズ」という名前。どんな花だろう、どんな葉だろうと想像したくなります。香りの原料を調べていくと、青さやハーブらしさ、すっとした印象を持つ素材に出会えます。
アルモアズを入口に、商品名、学名、香りの説明を読み分ける楽しみを見ていきましょう。知識が増えるほど、短い配合表からも豊かな景色を想像できるようになります。
アルモアズという名前の先に、学名がある
香料メーカーIFFは、「ARMOISE OIL PURE CSM」の植物名をArtemisia herba alba、原産国をモロッコ、使う部位を茎や小枝、抽出をハイドロディスティレーションと紹介しています。これは水を使って植物を蒸留する方法です。IFF「ARMOISE OIL PURE CSM」
一方、Berjéのアルモアズ精油の説明には、Artemisia vulgarisの葉と小枝から水蒸気蒸留する原料が登場します。通称だけでなく学名まで読むと、どの植物についての情報かを確かめられます。Berjé「Armoise Oil」
植物図鑑と、香料の資料をつなぐ
Kewの植物データベースは、Artemisia herba-albaをキク科の植物として掲載し、カナリア諸島、スペイン、北西アフリカを自然分布域に挙げています。香料資料で見つけた学名を植物図鑑で調べると、香りの向こうにある地域や植物の姿へと興味が広がります。Kew「Artemisia herba-alba」
一つの日本語名から、学名、部位、産地へ。調べた情報をこの順番で書くと、違う資料を読んだときにも整理できます。植物を知ることと、香料原料を知ることをつなぐ、小さな地図です。
ハーバル、グリーン、カンファー調を読む
IFFの香りの説明では、ハーブらしさとカンファー調、ミントを思わせる清涼な印象に加え、果実や緑の要素から樹脂・松材のような余韻への移り変わりが紹介されています。
香りの資料に出てくる専門的な言葉は、身近な印象へ置き換えると読みやすくなります。ハーバルなら草やハーブの景色、グリーンなら葉や茎を思わせる青さ、カンファー調なら樟脳を思わせるすっとした香り。これらは感覚を伝えるための言葉で、身体への効能を意味するものではありません。
一つの原料を、三つの時間で想像する
原料資料に香りの変化が書かれていたら、ノートに「入り口」「途中」「余韻」の三つの欄をつくってみましょう。説明にある言葉を、自分の言葉へ短く置き換えて書き込みます。
次に、その三つを一つの風景として想像します。明るい草地から、木陰のある道へ。すっとした空気のあとに、木や樹脂を思わせる印象へ。実際に嗅いだ感想とは区別しながら、香りの文章を読む練習として楽しめます。

完成したブレンドから、原料への興味を広げる
専門的な原料は、まず配合された完成品の背景として知る方法があります。配合表を読んで、柑橘、花、木、ハーブのように大まかに印をつけてみる。初めて見る名前は一つだけ調べる。その繰り返しで、ブレンドを味わう視点が増えます。
このページは香料の背景を知るための案内です。単体原料を自己流で肌や食品へ加えるのではなく、暮らしでは用途が明示された製品を、その使い方に沿って楽しみましょう。

二十四節気の中に見つける、ハーブの名前
naturaumの二十四節気ブレンドのエッセンシャルオイルの配合表にも、アルモアズという名前があります。ここで紹介した原料資料は、香料としてのアルモアズを知るための例です。製品の配合名から知識を広げ、次はブレンド全体を一つの香りとして味わってみてください。
知らない名前が、知っている植物や景色へつながる。香りを選ぶ時間には、そんな小さな発見も詰まっています。

