一滴足したら、香りの表情が変わった。でも、さっきのほうが好きだったかもしれない。精油のブレンドを楽しんでいると、そんな場面に出会います。元の香りへ戻るために役立つのが、試作ごとの記録です。立派な実験帳でなくても、比較のルールを少し決めるだけで、自分の好みをたどれるノートになります。
上書きする前に、Aとして残す
気に入った組み合わせを見つけたら、変更する前の配合をAと名付けます。次はB、その次はC。前の配合へ追記を重ねるより、別の欄へ書くほうが変化を見渡せます。芳香用の試作は少量から始め、容器やムエットにも同じ記号を付けます。記号が対応していれば、途中で片づけても続きを再開しやすくなります。
変えるものは、一度に一つ
例として、ラベンダーとスイートオレンジの組み合わせを比べてみましょう。初めは同じ二種類の比率だけを変えます。別の精油を加える、試す量を変える、香らせる道具を変える作業は、その次へ。比較したい条件を一つにすると、何が好みに近づいたかを考えやすくなります。
| 試作 | ラベンダー | スイートオレンジ | 比べたいこと |
|---|---|---|---|
| A | 1 | 1 | 基準のバランス |
| B | 1 | 2 | 柑橘の比重を増やす |
| C | 2 | 1 | 花とハーブの印象を増やす |
数字は配合を考える比率の例です。肌へ塗る濃度を示すものではありません。使う道具の説明に沿った少量の芳香用試作として扱います。

同じ時間の欄で、香りを比べる
記録には、試した日、製品名、配合、作った量、使った道具を書きます。その下に「直後」「少し時間を置いたあと」の欄をつくり、実際に確かめた時刻も添えましょう。Aは直後、Bはしばらくたってから、という比べ方を避けると、変化を整理しやすくなります。
ムエットを使う場合は接触させず、それぞれの名前が見えるよう並べます。続けて嗅ぎすぎず、途中に香りから離れる時間も。記録は「良い」だけで終わらせず、「最初は明るい」「あとに花が残る」と具体的な言葉で残します。
点数の横に、使いたい場面を書く
五段階で好みをつける方法もありますが、点数の意味を決めておくと振り返りやすくなります。「好き」の評価と「作業前に使いたい」の評価は別の欄へ。低い点を失敗扱いにせず、別の場面に合いそうかも考えてみましょう。冬の夜にはB、朝の支度にはA、と好みが分かれても楽しめます。

次の一手を、一行だけ決める
最後に「次回はBを基準に、道具を変えて比べる」など、一つの予定を書きます。試作を残す目的は、正解の配合を急いで決めることではなく、好きだった理由を自分でたどれるようにすること。香りの変化を観察する時間も、自分らしさを取り戻す楽しい余白になります。
ブレンドの基本から読み進める
- アロマブレンドの始め方|二つの香りで、自分だけの景色をつくる
- アロマブレンドの比率の考え方|3:2を保ちながら、香りを記録する
- アロマを混ぜたら、思った香りと違った!|ブレンドを見直す順番と小さな試し方
一本の精油を、もっと深く知る
次の試作を考えるときは、主要50種類の精油辞典もどうぞ。各ページに芳香ブレンド4例と、配合を調整する考え方をまとめています。

